矯正治療 歯を削るIPRとは?
2021/11/28
皆さん、こんにちは。
今回は、歯を削るIPRに関してご紹介していきたいと思います。
矯正治療において、歯を削って歯をキレイに並べますとお話しするときがあります。
虫歯ではないのに、歯を削ると聞くと「えっ!」とびっくりされると思います。
もちろんしっかりとした理由がありますが、その目的、利点、欠点をご紹介していきたいと思います。
『IPR』とは
Interproximal Enamel Reductionの略で、別名ディスキングやストリッピングといいます。歯と歯の間を歯に影響のない範囲で削る処置のことです。
『目的』
・空隙(隙間)を作るため
叢生(デコボコ)、上顎前突(出っ歯)、反対咬合(受け口)、開咬など、歯をキレイに並べるためには隙間が必要となります。
隙間を作る方法は、何通りかあります。
・抜歯をして隙間を作る
・拡大(歯列を横に広げる)
・遠心移動(奥歯を後ろに移動して前方部に隙間を作る)
・歯を削る など
このいずれかの方法あるいは、組み合わせで隙間を作ります。
・歯の大きさのバランスを整える
正常な咬み合わせは上下の歯列が理想的に咬みあう必要があります。
しかしながら、過去にむし歯があり補綴処置(被せ物)をしたことにより左右であるいは上下で歯の幅径(歯の大きさ)が異なる方、元々の上下の歯の幅径(歯の大きさ)に違いがある方などは歯を削ってバランスを整えて理想的な咬み合わせを確立する必要があります。
・ブラックトライアングルを改善するため
ブラックトライアングルとは、歯と歯の間の黒い隙間の部分を指します。
矯正治療でキレイに並べた際に、歯と歯の間の歯ぐきが下がり、隙間が目立つようになってしまうことです。
ブラックトライアングルが生じる理由としては、
成人の矯正治療の場合、歯槽骨レベルが水平的に低下していることが多く、歯ぐきもそれに伴い低くなってしまっている場合があるため。また、ブラックトライアングルになりやすいかどうかは、個々の患者さんの歯の形によってもかわります。
デコボコしている部分をキレイに並べると、どうしても起こってしまうことがあります。
その対処法として、歯を削ってあえて隙間を作り、歯と歯を寄せ合うことでブラックトライアングルの解消を試みるために歯を削ることがあります。
・歯の安定性のため
矯正治療が終了した後、キレイになった歯並びを維持することはとても大切です。人間誰しも加齢変化は起こることなので歯は動きます。
そのため、キレイにした歯並びの長期安定化をはかるために、歯を削ることがあります。
『方法』
専用の器具を使用して、歯の表面の硬い組織(エナメル質)を削ります。エナメル質の厚さは約1~2mmで、IPRで削るのは約0.2mm~0.5mmです。エナメル質の厚みの3分の1以下となります。
『メリット、デメリット』
●メリット
・スペースを作ることでキレイな歯並びにできる
・上下の歯の大きさのバランスを改善する
・治療後の安定性
・ブラックトライアングルの改善
・前歯の傾斜(出っ歯)を改善する
●デメリット
・歯を削らなくてはならない
・隙間を作れる量が限られている
・歯を削合中に歯肉から出血することがある
・知覚過敏のリスク
→様々な論文で一定の範囲内であればエナメル質を削っても虫歯や歯周病のリスクが増加しないことがわかっていますので安心して下さい。
(知覚過敏は歯の表面にあるエナメル質の下にある象牙質が露出することで起きます。IPRは、エナメル質のほんの表面しか削らないので(0.2~0.5mm)、削っている最中も痛みや知覚過敏が生じることはありません。しかしながら、歯を削るという作業は行うため、リスクとして考えられます)
『まとめ』
IPRは機能的な美しい歯並びのためにも重要な処置です。
歯を削ると聞くとマイナスなイメージを持ちがちですが、必要に応じて、より治療結果の精度を高めることができます。
少しでも、皆さんの矯正治療に対する疑問にお答えできるよう、定期的にブログをアップしていきます。
引き続きよろしくお願いいたします。
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