こどもの矯正について
KIDS ORTHODONTICS
小児矯正(1期矯正)
1期治療の開始時期
一般的には、上下の前歯4本(計8本)が永久歯に生え変わる小学2〜3年生頃です。
顎の成長発育促進、悪習癖の除去、永久歯に交換した前歯を整えることが大きな治療目標となります。
この時期に開始することで、「本格矯正(2期矯正治療)」の期間を短く、また抜歯の必要性も低くなります。
ただし発育には個人差があり、それぞれの矯正治療に適したタイミングがあります。治療は早ければよいというわけではありません。
そして将来、永久歯に生え変わって骨格が完成してきた時に、健康・美しさ・機能ともに理想的なお口と顔貌を得ることが重要です。
初診相談では、状態を見させていただきお話を伺った上で、「矯正治療が必要かどうか」「開始時期はいつ頃か」「定期的なチェックは必要か」等を将来を見据えてお話します。気になることがございましたら、まずは一度ご相談下さい。
お顔のバランスを整える
あごの幅が狭いと、大人の歯並びになった時にでこぼこが生じます。あごの幅の問題や、上あごと下あごの位置にズレがある場合は、成長をコントロールすることによって不正咬合(よくない歯並び)を予防することができます。子どもの時期に矯正治療を行うことで、噛み合わせが改善され、あごの骨がバランスよく成長し、それによってお顔のバランスも整えられます。
2期治療の期間が短くなる
1期治療(6〜10歳)からスタートできれば、2期治療(13歳頃〜)から矯正を始める場合と比べて、2期治療(ブラケットとワイヤーでの治療)の期間が短くなります。永久歯が生えるスペースを確保しながら、あごの成長もコントロールできるので、2期治療そのものが不要となる場合もあります。
永久歯の萌出を良い方向に誘導できる
乳歯の抜けるタイミングをコントロールすることで、永久歯の歯並び・噛み合わせの悪化を予防します。乳歯が長く残っていると、永久歯が乳歯を避けて生えてくるため、位置がずれる原因となります。また乳歯が早く抜けてしまった場合は、抜けたスペースに左右の歯が移動してきますので、そうならないように器具を装着して永久歯が生えるスペースを確保する処置を行います。あごの骨の中に埋まっていて生えてこられない永久歯(埋伏歯)に関しては、良い位置に生えてくるように調整を行います。
歯列の拡大
あごが小さく永久歯が生えるスペースが足りない場合は、歯並びを広げて永久歯が生え揃うスペースを作ります。大人になってから矯正を行う場合に抜歯が必要な状態でも、あごの成長期である子どもの時期に矯正を行うことで、抜歯をするリスクを減らすことができます。
癖を直して健やかな発育を促す
指しゃぶりや舌の癖は、噛み合わせ(開咬などの不正咬合)、お口の機能(発音・噛む・飲み込む)、全身の健康(口呼吸など)にも大きく影響します。子どもの頃に身についてしまった癖や習慣は、大人になっても治らないものです。子どものうちに正しい舌の使い方や呼吸方法を習得することで、お口の機能、噛み合わせ、輪郭の歪み、呼吸や姿勢などが改善されます。歯列矯正と並行して行うことでお子さまの健やかな成長を促すことができます。
将来的なあごの手術の必要性を減らす
成長期に予想以上に下あごの成長が進むことがあります。成長具合によっては矯正だけでは治療が難しく、成人後にあごの外科手術が必要になるケースもあります。あごの成長をコントロールできる小児期に、下あごの過度な成長を抑制することができれば、外科手術を回避して噛み合わせのバランスのとれた輪郭が整う可能性が向上します。
メンタルへの良い影響
子どもの時期に歯並びを改善することは、メンタル面にも間接的な影響をもたらします。歯並びやお顔立ちのバランスなどに起因するコンプレックスの予防・解消や、自己肯定感や自信の向上につながります。間接的に健全な精神発達の環境を整えてあげることができます。
2期治療の進め方(中高生以降)
お子さんの永久歯が生えそろった後に、ブラケット&ワイヤーを用いて、ワイヤーの矯正力で積極的に歯を移動させる矯正法が「2期治療」です。
1期治療とは違い、ご自分で取り外す事ができない固定性の矯正になります。
歯1本1本を精密に動かし、歯並び・噛み合わせ・お口まわりの見た目の仕上げを行います。1期治療により美しく歯が並ぶための条件が整っているため治療はスムーズに進みます。
二次治療は、永久歯列が完成した後に行う治療法ですので、時期(年齢)の制限は特にありません。
1カ月に1度ほどのペースで装置を調整し、約2~3年の期間で治療が終了します。
状態によっては1期治療の必要がなく、2期治療からスタートすることもあります。
また一方で1期治療のみで完了するケースもあります。
口呼吸・指しゃぶり・食べ方や舌の癖の改善 MFT
口呼吸・指しゃぶり・食べ方や舌の癖の改善 MFT
赤ちゃんは授乳時に舌を前後に動かして飲み込みますが、歯が生えてくると舌の動かし方が自然と変わり、上あごに舌を押しつけて食べ物や飲み物を飲むように変化します。しかし、舌を前後に動かす癖が残るお子さまもいます。舌癖のあるお子さまは前歯の内側から力が加わることで、出っ歯になりやすくなります。
また、お口がいつも開いていて上下の前歯の間に舌が入っていると、奥歯で噛んだときに前歯が噛み合わない歯並び(開咬)になります。
その他にも指しゃぶり、唇を噛む癖、口呼吸なども歯並びに影響を及ぼします。
そこで、咬み合わせや歯並びの乱れが、指しゃぶり、口呼吸、舌突出癖などのお口まわりの癖が原因の場合には、MFT(口腔筋機能療法)を積極的に行って予防します。
MFTというのは、お口まわりの筋肉や舌の動きなどを正すことで、食べる(咀嚼)、飲む(嚥下)、発音、呼吸、舌の位置、口唇の位置などを改善する簡単なトレーニングです。 お口まわりの癖を取り除いて、咬み合わせと歯並びの乱れを予防するのがMFTの大きな目的です。
メリット
①正しい飲み込み方が身に付く、食べ方がきれいになる
②表情筋が鍛えられ、自然で素敵な笑顔になる
③歯槽骨(歯根の周囲の骨)の歪みが改善される
④発音が改善する
⑤正しい機能を身につけることで正しい発育が期待できる
⑥矯正歯科治療の効率が上がる
⑦矯正歯科治療後の後戻りを抑える
歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)
マウスピースで受け口の早期治療が可能に!
負担が少なく早く治してあげたい受け口の治療におすすめです。
受け口(反対咬合)とは下の歯が上の歯より前に出ていることです。
不正咬合の一つで、3歳児健診などで気づいても、歯科からは「しばらく様子をみましょう」と言われ、戸惑う親御さんも少なくありません。
最近は、マウスピース型の装置を就寝時に装着するだけで、幼い子の負担が少ない治療が普及し、早期治療が可能になってきました。
取り外し式の装置で、お口まわりの筋肉(唇・頬・舌など)によって、前歯部の反対咬合の改善をはかります。
リップシールド(上の歯の前方にくる装置)によって強い上口唇圧を排除し、上あごの正常な成長を促します。
また、歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)を装着した状態で口唇を閉じる動作を意識的に行わせることで、オトガイ部に過緊張を与え、下あごの前歯を後退させます。
また、低位舌(舌が低位にある状態)を改善し、飲み込む時に舌が正しく口蓋に圧接される環境を作り出すことで、上あごの前方成長を促します。
子どもの矯正治療の注意点について
治療期間が長引くことがある
子どもの矯正治療はあごの骨の成長がピークを終える中学生から高校生まで経過を観察する必要があります。継続的な治療が必要な場合は矯正期間が長くなる場合があります。
2期治療では抜歯をする可能性がある
1期治療の目的はあごのバランスを整えることです。あごのバランスや、歯列の幅が正常であっても、歯のサイズが大きい場合にはでこぼこが生じます。永久歯のでこぼこや位置を改善するためには2期治療(ブラケットとワイヤーでの治療)が必要になり、場合によってはその際に抜歯が必要になることもあります。
再治療が必要になることがある
お子さまの背丈が何センチまで成長するのか予想することが難しいように、あごも治療計画時の予測を超えた成長をする場合があります。「予想以上にあごが成長した」または逆に「あごの成長が止まってしまった」などの場合は、再治療または成人後に外科矯正が必要となることがあります。
治療へのご協力をお願いします
自分で取り外しができる装置を使う場合、指示された装着時間を守っていただけないと治療が進まず長引くことがあります。お子さま自身が強い意志を持って継続しなければ、思うような結果を得ることは難しくなります。お子さまのモチベーション維持のためにも、ご家族のサポートが治療成功のポイントとなります。
装置によっては虫歯リスクが高まる
歯に固定するブラケットとワイヤーでの治療は、ワイヤーに食べ物が絡みやすく、歯ブラシが届きにくいことが難点です。虫歯のリスクが高まるため、これまで以上に入念な歯磨きと予防ケアが必要になります。詳しくは治療の際に指導いたします。
歯根吸収の可能性がある
歯の根っこが溶けてしまうことを歯根吸収といいます。矯正治療によって生じる可能性がありますが、多くはわずかな吸収で、日常生活に支障はありません。他にも外傷など様々な原因で生じることがあります。万が一大きく歯根吸収が生じた場合は、治療の中止、歯の連結固定、抜歯等が必要になる可能性があります。
症例 01 : 上顎前突(小児矯正(Ⅰ期治療))
主訴 | 出っ歯、デコボコが気になる |
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診断名 | 叢生および下顎劣成長による上顎前突症例 |
初診時年齢 | 8歳 |
性別 | 男の子 |
治療内容 | 表側矯正装置(クリアブラケット/固定式)→機能的矯正装置(取り外し式)→一時保定装置(取り外し式) |
抜歯非抜歯 | 非抜歯 |
方針 | 部分的な表側矯正装置(ワイヤー)によりデコボコを改善した後、
顎骨発育期のため、下顎劣成長を改善するため機能的矯正装置(取り外し式)にて下顎の成長促進を促し、
上下顎骨の前後的なバランスを整え、一時保定とした。 |
動的治療期間 | 2年6ヵ月 |
リスク・副作用 | 歯の移動に伴い歯根が短くなるリスクがあります。治療中はより虫歯に気を付ける必要があります。矯正治療後の一時保定装置の使用を怠ると、ガタガタが再発することがあります。小児矯正は、顎骨の発育を整え、永久歯の萌出環境を整えることを目的とした予防的な矯正治療です。以上から、永久歯が全て萌出した後、再検査、再診断を行い、かみ合わせを整える二期治療(仕上げ矯正)(別途費用)を行います。 |
費用目安 | 診断料 44,000円(税込) 小児矯正 385,000円(税込) 処置料金 5,500円(税込)あるいは、3,300円 ×来院回数分 |
症例 02 : 下顎前突(小児矯正(Ⅰ期治療))
主訴 | 受け口が気になる |
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診断名 | 叢生および上顎骨劣成長による下顎前突症例 |
初診時年齢 | 7歳 |
性別 | 女の子 |
治療内容 | 上顎前方牽引装置(固定式)→表側矯正装置(クリアブラケット/固定式)→一時保定装置(取り外し式) |
抜歯非抜歯 | 非抜歯 |
方針 | 上顎骨の劣成長による下顎前突が認められた。 また、デコボコの原因は、歯冠幅径(1歯ずつの歯の大きさ)が大きいためであった。 以上から、上顎劣成長を改善するため、上顎前方牽引装置にて上顎骨の成長促進を試み、
その後部分的な表側矯正装置(ワイヤー)により歯の配列を行い、一時保定とした。 ただし、歯の大きさを変えることは出来ないため、
永久歯が全て萌出した時点でデコボコが残るため、
二期治療(仕上げ矯正)でかみ合わせとともに改善する。 |
動的治療期間 | 2年3ヵ月 |
リスク・副作用 | 副作用:歯の移動に伴い歯根が短くなるリスクがあります。 治療中はより虫歯に気を付ける必要があります。
矯正治療後の一時保定装置の使用を怠ると、
ガタガタが再発することがあります。
小児矯正は、顎骨の発育を整え、
永久歯の萌出環境を整えることを目的とした予防的な矯正治療です。 以上から、永久歯が全て萌出した後、再検査、再診断を行い、
かみ合わせを整える二期治療(仕上げ矯正)(別途費用)を行います。 |
費用目安 | 診断料 44,000円(税込) 小児矯正 385,000円(税込) 処置料金 5,500円(税込)あるいは、3,300円 ×来院回数分 |
症例 03 : 叢生(小児矯正(Ⅰ期治療))
主訴 | 前歯の隙間、デコボコが気になる |
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診断名 | 空隙および狭窄歯列を伴う叢生症例 |
初診時年齢 | 8歳 |
性別 | 男の子 |
治療内容 | 拡大装置(取り外し式)→表側矯正装置(クリアブラケット/固定式) →一時保定装置(取り外し式) |
抜歯非抜歯 | 非抜歯 |
方針 | 上下顎骨の狭窄により叢生(デコボコ)が認められた。以上から、顎骨発育期のため上下拡大装置にて狭窄の改善。 その後部分的な表側矯正装置(ワイヤー)により歯の配列を行い、一時保定とした。 |
動的治療期間 | 1年8ヵ月 |
リスク・副作用 | 歯の移動に伴い歯根が短くなるリスクがあります。 治療中はより虫歯に気を付ける必要があります。 矯正治療後の一時保定装置の使用を怠ると、ガタガタが再発することがあります。 小児矯正は、顎骨の発育を整え、永久歯の萌出環境を整えることを目的とした予防的な矯正治療です。 以上から、永久歯が全て萌出した後、再検査、再診断を行い、
かみ合わせを整える二期治療(仕上げ矯正)(別途費用)を行います。 |
費用目安 | 診断料 44,000円(税込) 小児矯正 385,000円(税込) 処置料金 5,500円(税込)
あるいは、3,300円 ×来院回数分 |